痔は座薬や軟膏、飲み薬などで一時的に良くなっても再発してしまうケースが多いもの。漢方を使って根本から体質改善をめざしましょう。
漢方の考え方
漢方医学は、約2000年前に中国で生まれたとされる医学。身体に出ている症状に合わせて同じ薬を処方する西洋医学とは異なり、同じ症状でも、その人の体質や症状の状態(=「証」)を見極め、それに合わせた薬を処方します。「証」の判断には、「実・虚」「陽・陰」といったものが用いられます。また特定の症状に作用する西洋医学の薬に比べて、漢方薬は複数の症状に作用するため全身の病気や慢性的な病気に効果的です。
漢方の治療方法
漢方医学には「気・血・水」という概念があり、これらがバランスよく循環していることで健康が保たれると考えられています。このなかで不足しているものを補うのが漢方薬。処方をする際は、症状が出ている部位を診察するだけでは全身の不調が読み取れないこともあるため、望診、聞診、問診、切診の4つの方法で診断します。
望診 | 患者の顔色や動作、舌や皮膚の状態などを診る |
聞診 | 患者の声や臭いなどによる診断 |
問診 | 患者の訴える症状、問いに対する答えなどを診る |
切診 | 脈診や腹診など、患者に触ってみて診断 |
「痔」は漢方の得意分野
痔は漢方医学的には血行不良、いわゆる「お血(おけつ)」が原因と考えられています。お腹の冷えや肝臓の疲れによって汚れた血液が肛門付近で停滞し、血のめぐりが悪くなっている状態。肛門付近の傷や炎症を治めるだけでは根本的な解決にはなりません。漢方医学の得意とする全身の症状をふまえた体質改善をすることが、結果的に痔の治療にとっては近道なのです。